暗闇坂の人喰いの木。2007/02/21 16:23

暗闇坂の人喰いの木。
これは私の蔵書ではなくて、先日会った悪友のAから借りた本。
以前も借りたのですが、久しぶりに読みたくなって借りました。

島田荘司氏の1993年の作品で、講談社出版のミステリー。
本の厚みは京極さんに負けません。

舞台は1984年の横浜にある西区戸部。
暗闇坂に沿うように建つ古い洋館での出来事。
そこには樹齢2000年とも言われる大きな楠の木があった。

その大楠には曰くがあり、かつて江戸時代に刑場があり、
数え切れない程、極刑が処された場所だった。

時は経ち、太平洋戦争が始まる直前、大楠の上部で
全身ボロボロに傷ついた4~5歳ほどの少女の遺体が発見された。
当時の警察も捜査したが、すぐに太平洋戦争が始まってしまったので
誰がそこに乗せたのか、そもそも誰が幼い子供の命を奪ったのかは
迷宮入りしていた。

そんな過去があった為、地元の人達は大楠を恐れた。
人の血を沢山吸ったこの大楠は人智を超えた力を持ち、
木の上部に開いている洞に耳を近づけると
首を落とされた人達の悲鳴とも呻き声とも
つかぬ恐ろしい声が聞こえると。

そして1984年、探偵御手洗潔と、その相方、石岡和巳。
石岡が巻き込まれる形で始まった大楠での謎解きは
次々に悲惨な過去を明るみに出して行った。

洋館にすんでいたスウェーデン人とその日本妻、
二人の間に生まれたのは息子二人と娘一人。
父の特異な性格を受け継いだ子供達。
その事を悲観した母は・・・。

とまあそんな感じです。
色々な意味で
非常にマニアックな作品
だと思います。

私が借りたのは新書版ですが、現在は絶版していて
入手困難かと思われます。
でも文庫版で出ていますので興味がおありの方はそちらをどうぞ~。